有名な観光地はどこも国外からの観光客で賑わっている昨今、奈良京都も例外ではありません。
大阪空港からリムジンバスで小一時間、近鉄奈良駅に降り立ちますと、春日山への歩道は人の波です。
人と鹿にぶつからないように除けながら緩い上り坂を歩いていきます。
中には親子の鹿をバックに自撮り棒で写真をとっている外国の人たちもいます。
私たちが目指すのは、奈良国立博物館の「白鳳 花ひらく仏教美術」です。
この日のためにFさんが送ってくださった<図録>で、見たいものの目星は大体つけてありました。
なんといってもまずは曽我倉山田石川麻呂ゆかりの「山田寺の仏頭」です。
今までにも興福寺の宝物館で出会う度に、大らかさに癒された「仏頭」にまた会えました。
そして今年の冬、當麻寺でお会いして魅せられた四天王のうちの「持国天立像」
風貌も魅力的ですが、脱活乾漆造りの先駆とか。
細い目、薄い唇はこの時代の四天王像のお顔の魅力でしょうか?
「伝 橘夫人念持仏」
阿弥陀三尊像は高さ33センチほどの大きさですが、仏様が安置される厨子は思いのほか大きくて270センチもありました。
阿弥陀仏が座す蓮の花の生えている蓮池や、後の屏の繊細で力強い表現には驚かされました。
「伝 虚空蔵菩薩立像」
洞(うろ)のある楠材で造られているとか。
長いお顔や目鼻立ちが法隆寺の百済観音像に似ておられます。
「菩薩立像」
幼児のようなお顔と4頭身?の体型が愛らしい。
思惟を思わせる右手を図録で見た時に、幼児の手そのものの可愛さに、間近で見て見たい衝動にかられました。
像の右側からみますと、皺ひとつないふっくらおててはまるで赤子の手のようでした。
法隆寺金堂の天蓋付属品の「飛天」。
白鳳の美術品のうち、体躯やお顔の表情がやや庶民的?な像のひとつです。
崇高なイメージ、美的完成度の高い像には誰しも魅かれます。
一方、ロマネスク様式の教会の素朴な像にみるような、信仰に裏打ちされた職人仕事?のような像は、より身近に感じられます。
写真は、ミュージアムショップで購入したポストカードから載せました。
この他にも、法隆寺の夢違観音の左手の表情が素敵で見入りました。
親指と人差し指の間に水瓶をはさみ持ち、手は開いたまま。しなやかに反り返る指が印象的でした。
また、一般人と思われる童子の頭、顔を歪めた大人の頭の塑像。
樹下美人そのままの唐の貴婦人の頭(塑像)。
中国の兵馬俑で見たことのあるような兵士の顔(塑像)は、生き生きとした表情で、遥か大陸文明からの影響を思わせました。帰ったらもう一度<図録>を繰って楽しみましょう。
満足の観賞を終え、レストランで白鳳展限定スイーツでひと休みです。
折角ですので東大寺まで足を延ばし、↓
内外の観光客で賑わう大仏殿にお参りいたしました。
堂内に土産品売り場が増えたのと、柱の穴潜りを待つ長蛇の列にはびっくり!
門前の池の側には白い百日紅の大木が木蔭をつくって‥‥、
一瞬、夏の暑さが収まったように感じました。