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松葉牡丹(2013.08.10 SAT.)

幼い頃の夏の庭は、特別に花壇などはなかったけれど、毎年忘れずに咲いてくれる「松葉牡丹」や「ホウセンカ」で彩られていました。

花が終わり実を結び、時がくれば自然に弾け飛び散る「ホウセンカ」。
その時を見計らってそっと触れると、次々に弾けて指先をくすぐる。
一日花の「松葉牡丹」は色も様々。
どんな色が幾つ咲いたのかを確認するのは、毎朝の楽しみでした。

今、街中の我が家の敷地内は、コンクリートで固められていて土がありません。
花は皆、プランターや植木鉢で、乾燥を気にしながら水やりをし、手を掛けて育てるものになりました。

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だいぶ前、幼い頃を思い出して、プランターに「松葉牡丹」を植えてみました。

 
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水やりのタイミングを計りながら、何年かは楽しんだのですが、長くは続かずやがて‥‥消滅して。


今年の春先、長い間放ったらかしにしてあったプランターの土をひっくり返して、しばらく放置しておいたら‥‥雨の恵を得て、いつの間にか小さな松葉牡丹が生えてきていました。驚きです。
あちこち芽を出した松葉牡丹を拾い集めて、プランターに植え替えました。

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その内の一つが蕾を付けているのを今朝発見!



ようやく戻って来た夏の陽射しを受け止めて、咲くのが楽しみです。

私の場合、花にまつわる思いは、ずっと繋がっていくように思います。

富山県の八尾町。父は7人兄弟の上から2番目。
私が初めて<生まれ在所>の富山県八尾町を訪ねたころには、ほとんどの兄弟は他界し、叔母がひとり健在でした。
年寄りひとりが留守番の家を訪ねますと、広い敷地内には様々な草木が植えられ、夏の花々が咲いていました。
叔母自慢の、色も鮮やか八重咲きの松葉牡丹が目に止りました。

「種が落ちたら、是非分けて!」と叔母に頼みました。
父と同じように、叔母もこの花が好きなのかとふと思ったからです。

遠く離れていても、同じ花を愛でる喜びが共有できるかと、楽しみに待っていたのですが‥‥。やがて叔母は病に伏し、お見舞も出来ないうちに一年ほどで他界してしまいました。

葬儀に参列した時、叔母の想い出に繋がる「松葉牡丹の種」のことを
従姉妹に恐る恐る聞いてみました。

「え!そうだったの !! 」
「母がハルちゃんに、つまらない種子など送ってくれというので、分った分ったと聞き流して、処分してしまった」とのこと。    そうだったんだ‥‥。

ずっと待っていたことは伝えたものの、その一件は、笑い話のうちに終わったことになってしまいました。
 
 

あれから叔母さん、お嫁さん、その息子さんと代は変わり、馴染みの薄い遠い地に住む私の存在は、日々に疎くなっていくのでしょうから、心を残しながらも、諦めるしかありません。

松葉牡丹(2013.08.10 SAT.)_b0226219_15264913.jpg

夏の陽射しをいっぱい受けて咲く可憐な「松葉牡丹」。
気にかけられるでもなく、待たれるでもなく‥‥叔母さんが元気だった頃と同じように、今年もあの庭で、花を咲かせていることでしょう。
by hanatabi-haruko | 2013-08-10 15:36 |