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リサさんが教えてくれたこと(2011.05.20 FRI.)

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見事な真紅のシャクヤクです。
春と初夏の花が咲き競い、散歩が楽しい今日このごろです。

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同じ赤でもこちらは緋色でしょうか。ボルゲーゼ美術館に所蔵されているティツィアーノの「聖愛と俗愛」。
500年も前に描かれた、美しい赤が印象に残っています。


23年程前のことです。
オーストラリアからの交換留学で、近所のお宅に小柄な高校生が、ホームステイしていたことがありました。名前はリサ。
ステイ先が娘の友達の家だったということもあり、我が家にも時々遊びにきてくれ、竿燈祭りにもはっぴ姿で参加したり交流がありました。

そのリサさんと、お茶をしながらの会話の中で‥‥
「オーストラリアは歴史の新しい国だけど、学校で歴史の勉強はどんなふうにするの?やっぱり狩猟時代から始まるの?」

不しつけな私の質問に、リサさんはしばらく考えてから、使える日本語をかき集めて、答えてくれました。
「現代の問題で興味あるものから入っていって、過去に行くという方法で勉強します。」

歴史が新しければ,少しは楽かと想像していたなんて恥ずかしい!
遥か縄文時代から始める歴史がず~っと苦手だった私です。

う~む、そんなピンポイントの方法があったのか!
目から鱗の驚きでした。
長年の苦手意識から抜け出せるかも。
一条の光が射したものの、その後何年もそのことを忘れていました。

そして10年前、イタリアを旅した時、ローマのボルゲーゼ美術館で
心を揺さぶられる美しい彫刻と出会いました。
彫刻家ベルニーニの「プロセルピナの掠奪」です。

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激しく抵抗する女神を我がものにしようと、柔肌に男神プルトーの指が食い込む。群像の素材は固い大理石です。


ベルニーニがこんなにも美しく表現したかったギリシャ神話の一場面とはどんな物語なのだろう?

実は、何回も西洋絵画を観賞するうちに、『ギリシャ神話』『旧約、新約の聖書』を知っていたらもっと楽しいんじゃないかと、うすうす感じ始めてはいました。
けれども、複雑な神話や難解な聖書の扉を開けて覗く勇気がありませんでした。
一旦開けてしまったら、深みにはまってもがき苦しむにちがいありませんから。だから敢えて避けていたのですが。

だけど、やはりこの美しい彫刻をもっと深く知りたい!
こうなったら前に進むしかないかな?
帰りのフライトの間じゅう、覚悟ができずにずっと迷っていました。

そして、リサさんの、目から鱗の答えを思いだしました。
「現代の興味から入って‥‥」
とは言うものの、聖書や神話へ入っていく為の、私の現代的興味とは何なんだろう?
専門分野も得意な分野も持たない「北国のおばさん」には、そこからして既に難しい。

そんな時、県立図書館で見つけた最初の手がかりが、この本「絵画でたどる聖書の中の女性たち」でした。

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キリスト教圏の4人の女性が、聖書に登場する女性たちにスポットを当て、解説、感想、意見を書いている豪華美術本です。(表紙絵はマグダラのマリア)

乱暴な言い方が許されるなら、「聖母マリアもマグダラのマリアも同じ女性」なんですね。


単純明快「女性である」という立脚地からなら、私にも、神話や聖書を辿ることができるかもしれません。

ありがとう!リサさん!!
なんとか入口に立てました。
                        つづく
by hanatabi-haruko | 2011-05-20 17:47 |