昨日に引続きオペラの話です。
ウィーン・国立歌劇場では、モーツアルトのオペラ「フィガロの結婚」を観賞しました。
大ホールへのエントランス。モーツァルトの像がある。
今夜の出し物に合わせて準備中の舞台裏は、大道具、小道具、配線コードなどで予想以上に煩雑。又、舞台の奥行き、奈落の底から天井までの高さ、ともに60メートルあるというのですから、大掛かりです。
ホールの天井とバルコニー席。今回私たちの席は平土間です。
主人公『フィガロ』が出てくるオペラといえば、モーツァルトの「フィガロの結婚」の他にもうひとつ、ロッシーニの「セビリアの理髪師」があります。オペラファンだったら衆知のことのようですが、私は最近になってそのことに気づきました。
お陰でミラノでは、同席したご夫妻と少し突っ込んだオペラ談議ができ、ラッキーでした。
既に上演されていたこのオペラについての新聞の評価は「歌も演奏も申し分なし。但し舞台背景や衣裳が時代にそぐわない!」とのこと。
「なんだ、なんだ、ビジュアルも楽しみのひとつなのに!残念だな~」と思っていたら、評価の影響か、歌手の衣裳だけは、中世らしいものに修正されていました。
天井から吊り下げられたパネル(家具道具類や色彩豊かな草木などが描かれてある)が何枚も、幕間ごとに入れ替わり、斬新な舞台背景です。
気持ちを切り替えイマジネイションを働かせて楽しめば‥‥スピーディーな物語の展開にはこれもよいかもしれない。
「古典的な背景がいい」と言って譲らない人もいますが、この歌劇場だけでバレー、オペラを年間300ステージもこなすという。
移動や組み立て等を考えたら、効率も必要なのかもしれません。
ミラノに劣らず、いえ、更に実力のある美男美女揃い。
特にアルマヴィーヴァ伯爵役の演者は、役柄通り艶っぽく、スザンナ役の演者は役柄にぴったりの可愛い女性でした。
登場人物の会話風の歌の応酬に、観客たちはクスッと笑ったり拍手をしたり‥‥何回観ても笑える音楽喜劇(?)を楽しんでいるという様子でした。日本の歌舞伎も同じかな?
しかも指揮者は小沢さん退任の後、ウィーン・国立歌劇場で音楽総指揮をするフランツ・ウエルザー・メストさんです。
40数年ぶりに地元オーストリアから選ばれた精鋭で、就任して間もない
彼を応援してか、地元の音楽フアンはヒートアップしているようでした。
カーテンコールは何回も繰り返され、いつまでも拍手が鳴り止みません。歌唱と演技、舞台、そして音楽と、三拍子そろった総合芸術を満喫いたしました。