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日本酒のおいしい季節です!(2017.09.20 WED.)


ここ3、4年、フレッシュ&ジューシータイプの日本酒の人気が高まっています。そのほかにも、白麹や黒麹で仕込んだ酒、 10%以下の低アルコール酒、責め取りだけを集めた酒、限りなくスパークリングワインに近い酒、貴醸酒、オーク樽などに貯蔵した酒等も盛んに醸造されるようになり、老若男女を問わず新しい日本酒を飲んでみたいというファンが育っていると感じます。
若い蔵元さんたちが先駆けて起こしたブームは、それ以降の酒質を牽引してきたと思います。

人気蔵の人気のお酒は発売する量を上回る注文数で品薄が恒常的、しかも一回こっきりの入荷が当たり前のようになりました。
私たち酒販店は、売れるから売りたい、けれど酒が充分入荷してこない。仕方のないことと承知はしておりますが、歯がゆさを感じております。
畢竟早々と終売してしまいますので、用意した冷蔵陳列棚は空のこともしばしばです。
今や「この酒はこの酒販店に扱わせたい」と酒蔵(蔵元)が主導し、酒販店が選別され酒を配分される時代になったのかもしれません。厳し~い!
中には「デパートに置くような酒は扱わない」(=デパートに置くのなら取引を止める?)という強気の酒専門店もあると聞きました。勿論大消費地の力の強い大型酒販店の話ですが。
扱う酒が多彩で顧客が多く、販売数量が多い。専門店化をさらに深化させ集客し、それを背景に強気で酒蔵(蔵元)と交渉できる。
日本酒ファンがそんな酒販店に押し寄せて益々儲かる。そんな構図が顕著になってゆく?

飲み手は、酒についての情報は酒蔵(蔵元)の催すイベント会場で、蔵元から直接入手することが多いようです。
現に、「先行試飲したけれど」と、私どもより早く情報を得て「何時入荷するの?」と聞いてくるので、返答に困ります。
そして「入荷しました!」と情報発信する酒販店に朝から並んで、お目当の酒を入手する。
人気の酒を飲んだ感想は、飲み手が自慢げに(失礼!)ネットにあげさらに拡散していきます。
そのサイクルがだんだんスピードアップしてきていて、情けないことですが私など目が回りそうです。ふ~

様々な酒の情報が縦横無尽に飛び交う中、酒販店はアンテナを張って酒蔵からの出荷情報をいち早く飲み手に発信し、飲み手を引きつける‥‥忙しくなりました。
当然のことながら、飲み手の関心が集まる希少酒の品揃えができれば、酒販店は何とか存続していける。人気の酒を一本でも多く入荷することができるか否かで、酒販店存続が決まるといっても過言ではないかもしれません‥‥大変な時代です。

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だからと言って、私どもは人気だけで酒を選んで「是非とも扱いたい」と思っている訳ではありません。
蔵元のビジョンがこちらに伝わってくる酒、丁寧なお酒造りを積み重ねている酒蔵に、心が動きますし魅力を感じます。
蔵の顔の見える酒‥‥酒質はもちろんですが、蔵元の個性が表現された瓶やラベルメッセージも興味があります。
実際に飲んでみて「美味しい!」と思える酒に出会えることが一番の力になります。(美味い!と感じるかどうかは売り手の独断と偏見で決まることで、申し訳ないとは思いますが。)
そうして選んだ酒を自信を持ってお客様にお勧めすることが、私どもの責任であると考えています。
さらには、お勧めして「あの酒よかったヨ!」と言ってもらえれば、酒屋冥利につきるというものです。簡単なことではありまりません。時に喧々諤々‥‥たま~に文殊の知恵‥‥あれこれ迷いながら商う昨今です。

この先、日本酒はどう進化してゆくのだろうか?
造り手を始め、飲み手、売り手(酒販店)、もちろん醸造に関わる研究家も、酒に関わる多くの人たちが「酒・新時代」の到来を実感し、時代に遅れまいと注意を払い、研鑽を重ねている。これからも何かありそうな予感がいたします。

何はともあれ日本酒がおいしい季節です。 日本酒の未来に 乾杯!!
 


by hanatabi-haruko | 2017-09-20 07:00 | 雑事