花・旅・人

karyonin.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

白色?それとも赤色?‥‥(2011.05.21 SAT.)

白色?それとも赤色?‥‥(2011.05.21 SAT.)_b0226219_15503515.jpg
ナナカマドの白い花が満開です。
白色は純粋のイメージ。白無垢、白いウエディングドレスなど、純血をイメージする結婚衣裳に、白色を選ぶ女性も多いようです。

昨日の続きです‥‥絵画から、何が読み取れるのでしょう?
まずティツィアーノの「聖愛と俗愛」。
どちらが聖愛でどちらが俗愛でしょうか?

白色?それとも赤色?‥‥(2011.05.21 SAT.)_b0226219_15513620.jpg
正解は、貞節のイメージの純白のドレスの女性が「俗愛」で、ヌードの女性が「聖愛」です。逆ではありません。

人間は蛇の誘惑に負けて「禁断のりんご」を口にするまでは、楽園で(当たり前のように)全裸で暮らしていたんだそうです。なんの邪心もなく。(ドキッ!)
俗世間と天井世界。「俗愛」はもの鬱げに見えますし「聖愛」はおおらかな表情です。

たっぷり身体に絡ませた緋色の布は、画家たちが好んで描いた、赤色のドレスの聖母マリアを連想させます。

白色?それとも赤色?‥‥(2011.05.21 SAT.)_b0226219_15524183.jpg例えば、ラファエロの「草原の聖母」(ウイーン美術史美術館所蔵)
赤色のドレスに濃紺のケープ。戸惑いながらも神の子を宿し、イエスをこの世に誕生させる‥‥強い意志を持つ女性。マリアには白色より赤色が似合います。


「プロセルピナの掠奪」の全体像です。
神話ではこの事件をこう説明します。

白色?それとも赤色?‥‥(2011.05.21 SAT.)_b0226219_15581273.jpg冥界の王プルトーは、母である豊穣の女神から娘プロセルピナを掠奪しました。
母は悲しみにくれて、その為、地上に作物が稔らない年が続き、人々は大変困りました。
最高神ユピテルのとりなしで、娘はⅠ年の半分は地上の母のもとで過ごし、残りの半分は夫プルトーのいる地下の冥界で過ごしました。
と。

母が娘を迎える喜びの春には、芽吹き花が咲き秋に実を結ぶ。やがて娘が地下に帰ると樹木は葉を落とし、木枯らしの冬になる。

神話の時代の人々は、大自然の営み季節の成立ちを、こんな風に納得していたんですね。

周辺の土着信仰を吸収しながら、完成したと言われるギリシャ神話です。
ひとりの神がローマ神話の神名とギリシャ神話の呼び名、二つ持っていても不思議ではありません。

因みに、ギリシャ神話風に言えば
プロセルピナはペルセポネ
プルトーはハーデス
ユピテルはゼウス      う~ん!ややこし~い!!


「聖書」や「ギリシャ神話」の深みにはまりながら‥‥少しづつ絵画が読み解けるようになってきました。
今は美術館にゆくのが更に楽しくなりました。
それは嬉しいのですが‥‥お陰で私は、未だにず~っと、もがき続けています。

なにしろ、神話も聖書も奥が深~~くて、これで満足と言うことがありませんから。
                       おわり
by hanatabi-haruko | 2011-05-21 16:07 |