3月に入って秋田市は真冬らしい寒い日が続いています。
桃の節句の3月3日、楽しみにしていた『山形交響楽団 特別講演会』をあきた芸術劇場ミルハスで鑑賞しました。
公演日は休日の午後という私たちにとってはジャストミートな日程です。秋田市出身のピアニスト佐藤卓史氏の演奏で
<ベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番 ハ長調作品15 > が聞けるのですから待ちに待った企画です。ご存知 佐藤卓史氏は高校時代からピアノコンクールに出場していて、国内外のコンクールで好成績をあげて活躍中の中堅どころ。秋田が誇るピアニストです。今回はまさに目の前で生の演奏を聞けるのですから‥‥ワクワクします。
指揮者は同じく秋田市出身の佐々木新平氏。山形交響楽団 はお隣の県ながら、創立50年を越える歴史があり、年間演奏回数が150回ほどと多く、評価の高い交響楽団です。
む~、指揮者もピアニストも交響楽団も、三拍子揃った素晴らしい演奏でした。
湧き上がるようなボリュウムある音色が、寒さで縮こまっていた私の身体(血肉)に響き渡り、魂を揺さぶられました。ブラボー!
私が以前に鑑賞した<ベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番 ハ長調作品15 > で印象深かったのは2001年冬でした。ローマのチェチーリア音楽院で、指揮者クラウデイオ・アバド、交響楽団はベルリンフィルでした。このコンサートは クラウデイオ・アバドが2000年に胃がん手術をし無事復帰したことを記念するコンサートでした。が、予定されていたピアニストのマウリツィオ ・ポリーニが体調を崩し降板。超人気のピアニストの突然の降板に、若干23歳のジャンルカ・ カシオーリが代役に立ちました。同じイタリア出身です。
大きな目をくりくりさせて時々客席に笑顔を向けながら、余裕を感じさせる演奏で立派に代役を務めました。指揮者アバドとピアニストポリーニという超豪華な組み合わせを楽しみにしていた観客をがっかりはさせましたが、演奏が終わる頃にはアバドと共にカシオーリは場内に渦巻くような喝采を受けておりました。こうしてチャンスを得て代役を見事に務めた若いピアニストが、応援するファンも得て育ってゆくのだろうと想像できました。因みにカシオーリは、作曲も手掛け活躍中。佐藤卓史氏とほぼ同年代で40歳代前半です。
余談ですが、以前、音楽の旅をした時、ヨーロッパでは雪に閉ざされた冬には、オペラやクラシックコンサート、バレーなどを楽しむ習慣が定着していると知りました。特にオペラの公演初日などでは、ドレスを着こなした観客も多くいるのを見ました。ドレスまでとはいかなくても、年配のご婦人たちはちょっと改まった服装にネックレスや大きめのブローチなどを付けおしゃれをしていました。華やかなコンサートの雰囲気を大切にする気遣いなのだと思いました。 開演15分前に、山響 金管アンサンブルと地元高校生とのプレ・コンサートもありました。本格的な交響楽団の演奏を聴き、学生たちはたくさんの刺激をもらったことでしょう。
ここは北国の秋田市、時折雪も舞ってくる鈍色の空、雪と寒さに閉ざされる季節です。温かいホールでオーケストラの生演奏で音楽を鑑賞できる贅沢なひと時を過ごしました。(いつもよりちょっとだけお洒落をして)